医療安全よもやま話
第11回:コロナ後の学術集会を考える ー中村京太ー
2023-04-12
自分のキャリアを振り返ると、これまでいくつの学術集会に出席してきたでしょうか?
新人の頃は、(もちろん今もですが)主に知識をまとめて獲得できる勉強の機会として、少し時間がたってくると、自分の研究成果を発表し、また新しい研究につながるようなシーズを求めて出席していたように思い出されます。そしていつの頃からか、私にとって学術集会に参加することは、パワーを充電する機会になっていました。日々、様々な障壁が立ちはだかり、時に不安や孤独を感じるときにも、学術集会で国内外から参加する同士たちとのつながりを感じることで、どれだけの勇気をもらったことでしょう。
昨年11月の第17回医療の質・安全学会学術集会は、第14回(2019年)以来の現地開催となりました。私も運営に参加させて頂きましたが、コロナ第8波で感染者が急増し、先が見えない中で現地開催を決断された寺井大会長のご心労は、いかばかりかと拝察しています。果たして、久しぶりにお会いする顔と顔は、みんな明るく活き活きとしており、運営チームとしては「現地開催を準備できて本当によかった」と、胸が熱くなる思いすらありました。パンデミックで、一度は物理的に距離を取らざるを得なくなった私たちが、安全で質の高い医療を目指すという共通の目的で、再び一堂に会するという当たり前ができることの喜びを再認識できる機会になったと考えています。
一方で、昔からのやり方に戻れば良いというものでもないかと思います。コロナ禍で急速に普及したWeb会議やメタバースなどの新しいテクノロジーも、良い部分を採用していくべきだと考えます。企業との関係も、顧客と営業ではなく、協働の関係構築を進め、財務面でも企業協賛への依存を減らし、その代わりに、会員数を増やし、これまで以上に皆が学術集会に積極的に参加するなど、学術集会をサステナブルにするための方略を考える必要があると思っています。
さて今年の第18回学術集会は、辰巳大会長のもと「世界はチームでできているー多様性の森へようこそー」というテーマで、準備を進めています。私たちは、医療の質・安全学会というチームの一員だと思います。モチベーションもアプローチもそれぞれですが、ぜひ、再び神戸の地にチームの皆で集まり、熱い議論や楽しい雑談を通して、多様性を力にかえ、目的を共有する仲間たちとのつながりを強固にする日が来ることを心待ちにしています。
横浜市立大学附属市民総合医療センター 医療の質・安全管理部
部長 診療教授 中村京太