2024年度表彰
第19回学術集会において2024年度の表彰を行いましたので、お知らせします。(以下敬称略)
第10回 上原鳴夫記念研究奨励賞
最優秀賞 新谷 拓也 国立大学病院における免疫抑制・化学療法時のB型肝炎再活性化予防対策に関する実態調査
優秀賞 神田 友江 入退院支援センターにおける外科患者を対象とした手術前中止薬確認への薬剤師介入の有用性
若手奨励賞 山田 紀昭 インシデントレポートのテキスト分析支援を目的とした自己組織化マップによるインシデント要因の可視化−
優秀英文論文賞 該当者なし
【総評】
上原鳴夫記念研究奨励賞の最優秀賞、優秀賞、若手奨励賞は、当学会の学会誌に原著論文として掲載された研究が選考の対象となりましたが、今回は7つの論文が審査対象となりました。
論文の新規性、学術的重要性、臨床的発展性、論旨の明快さ等を基準として審査し、最優秀賞には新谷拓也氏の「国立大学病院における免疫抑制・化学療法時のB 型肝炎再活性化予防対策に関する実態調査」、優秀賞には神田友江氏の「入退院支援センターにおける外科患者を対象とした手術前中止薬確認への薬剤師介入の有用性」、若手奨励賞には山田紀昭氏の「インシデントレポートのテキスト分析支援を目的とした自己組織化マップによるインシデント要因の可視化」が選出されました。
これら3つの論文賞はいずれも学術的な重要性や臨床的発展性に関して高評価を得たものでした。
優秀英文論文賞および国際学会発表奨励賞に関しましては、該当者なしという結果でした。
総評としては、受賞された論文はいずれも医療の質の向上に寄与することが期待できる意義深い研究でした。
優秀英文論文賞と国際学会発表奨励賞は受賞者を選出できませんでしたが、今後もこの上原鳴夫記念研究奨励賞を研究の励みをしていただけることを切に願っております。
上原鳴夫記念研究奨励賞審査委員長 飛田 伊都子
ベストプラクティス賞
最優秀賞 坂下 絵美子 患者の希望を叶えるために~患者参画型看護の取り組み
優秀賞 島戸 真司 品質管理手法を用いた救急外来での脳梗塞見逃し撲滅に向けた取り組み
優秀賞 久保 美幸 医療安全推進者を対象とした「患者体験」の実施
特別賞 白石 裕子 抗がん剤治療における個別的な血管外漏出予防の看護
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【総評】
2024年度のベストプラクティス賞(BP賞)は、ポスター発表(計343演題)のうち、活動報告として登録された282演題を対象として選考がおこなわれました。
2024年度の学術集会当日は、大型のデジタルサイネージ6台を用いた発表となったため、デジタルポスターの一次審査・二次審査の採点を学術集会の開催前からオンラインでおこないました。
まず18名の一次審査委員が、有効性、適用可能性、独創性を基準として、ベストプラクティス賞候補を各1演題選出し、また、ベストプラクティス賞候補以外にぜひ推薦したい演題がある場合には、その演題を別枠で推薦しました。
次に、二次審査では、10名の審査委員(複数分野の医師、看護師、臨床工学技士、薬剤師の多職種医療従事者)で構成された審査委員会によって、一次審査で推薦された候補演題の中から最優秀賞1演題と優秀賞2演題を選出し、特別賞については活動報告すべてを対象範囲として特色が顕著な1演題を選出しました。
「最優秀賞」に選ばれた「患者の希望を叶えるために~患者参画型看護の取り組み」は、患者の個別性に配慮し患者・家族とともに「目標設定」をおこない、患者自身だけでなくベッドサイドを訪れるすべての職員が当該患者の目標を意識しやすい「ベッドサイドへの目標掲示」に取り組んだ活動報告であり、「患者参加」の枠組みに留まらず、皆が目標達成を意識しやすい環境づくりに取り組んだ点が大変興味深く、高く評価されました。
「優秀賞」に選ばれた「品質管理手法を用いた救急外来での脳梗塞見逃し撲滅に向けた取り組み」は、救急外来での脳梗塞見逃し防止という重要なテーマについて、現状把握と要因解析が十分に行われて対策の立案と実施がされており、今後の継続的評価と定着が期待されます。
「優秀賞」に選ばれたもうひとつの演題「医療安全推進者を対象とした「患者体験」の実施」は、各部署の医療安全を担当するスタッフが患者体験をして身体性をもって学ぶことで、単なる情報の伝達よりも効果的で学習者の価値観が更新されると考えられました。
「特別賞」に選ばれた「抗がん剤治療における個別的な血管外漏出予防の看護」は、IVナースによる穿刺で血管外漏出が減少し、その背景因子を事細かに解析することで、漏出に寄与する因子・回避する因子を明らかにしたもので、解析の視点がユニークでした。
また、惜しくも受賞とはなりませんでしたが、「AI技術による医療安全管理の革新 ~インシデントレポート分析の効率化とリスク管理の強化をめざして~」は、インシデントレポートの分析にAIを取り入れ、日本医療機能評価機構の報告事例を利用してAIの認識能力を高めることで、インシデントレポート内の類似文書の検索や患者影響レベルの自動判定などを可能とした取り組みで、今後のさらなる発展や技術の共有が期待されました。
本年度は発表数が昨年度よりも更に多く内容も多彩で、また新たなデジタルポスターという方法に適切に対応して見やすく形式も整っている発表が多いと思いました。
ベストプラクティス賞 審査委員長 原田 賢治
※ベストプラクティス賞については、こちらを御覧ください。
◆安全を支える技術展◆
選考委員会奨励賞 ニプロ株式会社 セーフテック®Proインフュージョンシステム
特別賞 株式会社メディカルプロジェクト 抜針・抜管検知AIカメラシステム
特別賞 日本アッシュ株式会社 MET光ガイドカテーテルシステム
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【総評】
今年度は過去最高の27製品にエントリーいただきました。選考委員会は多職種の医療従事者に人間工学の専門家を加えた8名から構成されますが、エントリーされた製品の企業ブースを各委員が訪れ、製品を直接見て担当者と質疑応答を重ね評価を行いました。
評価項目は「独創性」「安全性」「接続性」「技術力」「デザイン性」の5項目で、各項目5段階で得点をつけました。
「選考委員会奨励賞」に選ばれた「セーフテック®Proインフュージョンシステム」は、コントロールパネルでポンプを一元管理できるシステムですが、ポンプ自体にも「閉塞予測機能」(閉塞を閾値でなく圧上昇変化で捉え、微量投与時の閉塞検出時間を大幅に短縮)など技術的改善が行われ、総合的に最も高い評価を得ました。
「特別賞」は、総点数が高い、または特定評価項目の点数が高い製品の中から、選考委員会において合議で選出しました。
「抜針・抜管検知AIカメラシステム」は、患者の頭部や腕を自動認識し危険動作を検出するもので、独創性において高く評価され、実用化に向けた期待を集めました。
「MET光ガイドカテーテルシステム」は、近赤外光を用いて胃管先端位置を確認するシステムです。
本製品は、同一患者で270回の使用が可能で、栄養剤投与前に胃液が吸引できない場合の先端位置の臨床判断において極めて有用と評価されました。
受賞製品をご覧いただくと分かるように、臨床現場で抱えている問題や悩みを企業が的確に把握して製品開発を行い、現場と企業とが協力して患者安全の向上に取り組んでいることが印象的でした。
安全を支える技術展 選考委員長 菊地 龍明
※安全を支える技術展については、こちらを御覧ください。
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