医療安全よもやま話

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第15回:だめだよ→こうだったらいいよ  ー舟越 亮寛ー

私が薬剤師になって24年、あっという間でした。
1999年に薬剤師になったので、振り返ってみても本当に医療事故報道が盛んに騒がれ始めた時であったのを今でも記憶に強く残っています。
同時に、情報開示の時代がやってきました。
薬剤師になったばかりの私は医師の処方箋にもとづいた調剤をしながら、「なんでPTPシートや錠剤には何の薬か印字されてないんだろう?」とつぶやいていたものでした。
そして患者さんに交付するときにはPTPシートや外用剤のチューブに貼られている医薬品名を取り外して交付していました。
この20年で、PTPシートには医薬品名が、錠剤にも識別コードのみならず医薬品名が印字されるようになりました。
そしてバーコードの印字と、やはり私たち医療従事者のための情報としては非常に情報が豊富になり、またバーコードを読み取れば、その情報を使って取り間違え防止に使うことができるようになってきました。
でも立ち止まると、それってどうでしょうか?最終与薬者である患者さん、ご家族、看護師に必要な情報でしょうか?有効期限は?
新型コロナワクチン接種でも有効期限切れのワクチンを接種などの報道が流れていましたが、日本では有効期限は変わらず患者さんが接種前に、内服薬も服用前に知ることができないのです。
日本ではところどころにまだまだ信頼財ではなく医療従事者を信用して身を預けるところが見受けられます。
こういったところを本学会で議論していきたいところです。
 
そして、2017年6月8日、医療用医薬品の添付文書の記載要領についての通知が発出され、 「原則禁忌」と「慎重投与」を廃止し、「特定の背景を有する患者に関する注意」を新設し項目を整理するほか、通し番号を設定するなど、約20年ぶりに全面変更されました。
 
他にも直近ですと、アセトアミノフェンの「重篤な腎障害」「重篤な心機能不全」「消化性潰瘍」を含む5つの集団について添付文書の禁忌の項から解除すること、妊婦への投与が禁忌となっていた高血圧治療薬「アムロジピン」と「ニフェジピン」について、妊娠中の使用による胎児への影響について情報収集・評価を行い、先天異常の発生するリスクを大きく増加させるとは考えにくいという理由から禁忌の項から解除することなど市販後の臨床データから根拠のない禁忌は解除されていき、気を付けなければならない患者さんは「特定の背景を有する患者に関する注意」の項で投与前後に慎重な経過観察をすることになりました。
 
私が薬剤師になってからのこの24年間で情報はどんどん開示され、患者さんのなんでも禁忌等の名のもとにダメだった時代から、慎重に使うことでベネフィットを最大限に受けることができる患者さんには使える時代になってきました。
それは、患者さんが自立自律して医療を受けることができるよう、医療従事者がそれを支援することができる情報開示が揃ってきた時代とも言えます。
リスク偏重からリスクベネフィットバランスの時代になってきたことを実感しながら、先にも述べましたこの多職種参加の医療の質安全学会ならではの情報発信を努めていけたらと思います。
 
亀田総合病院 医療管理本部
薬剤管理部
舟越亮寛