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第17回:ふたつの Safety-1.5 で Safety-3.0  ー原田 賢治ー

医療の質や安全についての考え方として、大阪大学の中島和江先生からレジリエンス・エンジニアリングとSafety-IIについて教えて頂いたことは、自分にとって大きな出来事でした。
本稿では、Safety-IIに関連して自分が現在感じていることを述べたいと思います。
安全管理について、Safety-I として、「悪いことに着目し分析的にとらえて、悪いことを減らす」、Safety-II として、「良いことに着目し統合的にとらえて、良いことを増やす」、の両方の面から考えることが提唱されています。
しかしながら、この区分に基づいて Safety-II を実行しようとする中で、Safety-I 的な要素が混ざった、Safety-1.5 と呼べるような状況となって、なんとなくすっきりしない、と感じることはないでしょうか。
 
たとえば、良いこと(成功事例)に着目して統合的に考えていく中で、悪いことが見えてきて、結局対策としては「悪いことを減らす」という(従来どおりの)方向になったり、逆に、悪いこと(失敗事例)に着目した(従来どおりの)分析の中で、どうしてうまくいっていたのか、どうすれば良いことを増やせるか、が分かってきて、良いことを増やそうとする方向に進んだり、ということもあると思います。
どちらの方向も、レジリエンス(複雑な状況におけるしなやかな適応・回復)の範疇と言えそうであり、Safety-IとSafety-IIの「いいとこどり」として実際に安全対策の方法としては役に立つものです。
しかし、その一方で、どちらの活動についても、Safety-IとSafety-IIの中間くらい、中途半端・不完全な Safety-1.5 くらいかなあ、という思い(うしろめたさ、ひけめ、おいめ)が伴うかもしれません。
 
そこで、仮に、「良いことに着目し統合的にとらえて、悪いことを減らす」を、Safety-1.5 PN(positive→negativeの意味)、「悪いことに着目し分析的にとらえて、良いことを増やす」を、Safety-1.5 NP(negative→positiveの意味)、と呼ぶことにして、Safety-1.5 PN と Safety-1.5 NP のふたつを合わせたものを(ホルナゲル先生からは怒られそうですが)、Safety-3.0、と思うことにしてはどうでしょうか。
中途半端で駄目な方法と考えるよりも、実用的な方法と思って(割り切って、開き直って)活用していくのが良いと思いますが、いかがでしょうか?

 

東京農工大学
保健管理センター
原田賢治