医療安全よもやま話
第18回:「前向きで、明るく、楽しい医療安全」をめざしたい ー綾部 貴典ー
2023-11-22
1991年研修医となり、外科の臨床現場は超多忙で過酷であった。
外科修練は苦労と試練の連続であり、逆境に強いレジリエンス能力を身につけた。
当時の手術技術は術後合併症の発生が高く、インシデント、アクシデント、有害事象、エラーもあったと思う。
術後経過を患者や家族に丁寧に説明し、献身的な態度で患者を診て、患者や家族の不信感から信頼を得るプロセスを体感し、最終的に感謝されることも学んだ。
1999年に、医療事故の報道が多発し、医療安全が始まった。
その後も大学病院の医療事故の報道は繰り返され、2018年特定機能病院の医療安全業務に専従医師の配置が求められ、自分がその役割を引き受けることなり、果たしてセレンディピティになるのかどうか、まだわからない。
2024年から医師の働き方改革の実践が始まる。
「働きすぎは、疲労困憊とストレス過剰で、医療安全上問題がある(判断ミス、エラーを多発させる)」ので、医療を安全にするために働き方改革が必要だと言われている。
過酷な臨床現場で、医療事故を起こさずに個人の努力と根性で乗り越えてきたが、これからは、働き方改革を実践しながら、いかに医療安全の維持と質の向上とを両立するのかを目指さなければならない。
医療従事者のワークライフバランスは重要である。
意外と見過ごされている医療安全に係る医療従事者のワークライフバランスにも配慮した気遣いやケアーもどうしていくか考えなければならない。
後ろ向きの医療安全ではなく、前向きの予防的な医療安全を実践していくために、医療システムの変革にかかわり、病院組織運営、タスクシフト/シェアを、前向きに、楽しく、明るく、やっていくしかない。
先輩方の「これまでの医療安全(safety-I的)」を土台に、「これからの医療安全(safety-II的)」は、「前向きで、明るく、楽しい医療安全」に展開していきたい。
宮崎大学医学部附属病院 医療安全管理部
綾部 貴典