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第23回:多忙だった ー鈴木 明ー

前回までのこのコラムを書かれている先生方には及びませんが、私も安全管理部門で働くようになって10年程たちました。
増加することが望ましいとされるインシデント報告数は増えましたが、減ったほうがいいインシデントの件数は減少している実感がありません。

血糖値が高い人にインスリンを投与する際単位数を間違えたことの対策としてスライディングスケールを2人で読み合わせる事にする、入院患者に渡した内服薬が足りなかったというインシデントに対し看護師や病棟薬剤師が配薬前に薬袋を開け内容を再確認する等の再発防止策が立案されています。
他に方法が見当たらないということもあるかもしれませんが、仕事が増える方向の対策が多いのが実状ではないでしょうか。

一方でインシデントレポートを読んでいると、「多忙だった」「忙しく」「人員不足」といった文言が目につきます。
「多忙だった」の原因は様々だと思いますが、何らかの方法でマンパワーと業務量の不均衡を是正する必要があり、マンパワーが増えないなら業務量を減らすか上手に配分するしかありません。

内服薬が不足していたというインシデントを例に考えると、入院患者の内服薬は薬剤部門で処方に基づいて相互作用なども確認し調剤と鑑査というダブルチェックがされ病棟に届きます。
間違えが頻発しているのでなければ、病棟で
3度目のチェックをしなくても良いのではないでしょうか。
薬剤を間違えなく取り揃えるのは薬剤部門に任せ、病棟スタッフは間違った患者に薬袋を届けないようにしたり、患者の状態に合わせた投与方法の工夫にマンパワーを振り向けたりするのが良いのではないかと考えます。

もし問題が起きたらと考えると現場スタッフが現場の判断で自ら手順を減らすことは難しいでしょう。
現場の実状がわかっている現場スタッフが管理的な立場の人と共に業務の流れを見直し省いても良いと思われる手順を明らかにし、管理者が「やめていい」と言って初めてやめることができると思います。

業務を見直し勇気を持って不要な手順を削減し「多忙だった」を減らしていきたいと思います。

 

浜松医科大学医学部附属病院
医療安全管理室
鈴木 明