医療安全よもやま話
第39回:小さな居酒屋から広がった世界 ー狩川 大輔ー
2025-11-27
私は普段、仙台市街からほど近い青葉山にある工学部の研究棟で、航空分野のヒューマンファクターズを中心とした安全研究に取り組んでいます。
今やはるか昔となってしまった学部生の頃から、卒業論文も修士論文も博士論文も、ずっと航空安全について研究してきました。
そんな私にとって、今思うと大きな転機となったのは、博士課程の学生だった頃に、実務者の方々を中心とした「安全研究会」に参加させていただいたことです。
安全研究会は、2005年のJR福知山線脱線事故を契機として鉄道分野の有志によって発足し、その後、航空、電力、医療、海運、製造業、学術界などの多様な領域からの参加者を迎えつつ、分野横断型の研究会として発展してきました。
安全研究会は、2005年のJR福知山線脱線事故を契機として鉄道分野の有志によって発足し、その後、航空、電力、医療、海運、製造業、学術界などの多様な領域からの参加者を迎えつつ、分野横断型の研究会として発展してきました。
仙台に住む学生だった私が、首都圏で開かれる会合に参加できる機会は限られていましたが、メーリングリストと、あとは時折、羽田空港近くの小さな居酒屋で開かれる懇親会の場で交わされる議論に参加させていただき、その中身の濃さに本当に驚かされました。
もちろん、置かれている状況や個々の安全施策の面では、分野ごとの違いはあります。
しかし、誰もがそれぞれの組織の中で、安全の重要性や具体的な方法論を分かりやすく伝え、聞き手の腑に落とすことに心を砕き、そしてその工夫を惜しみなく皆と共有されていました。
もちろん、置かれている状況や個々の安全施策の面では、分野ごとの違いはあります。
しかし、誰もがそれぞれの組織の中で、安全の重要性や具体的な方法論を分かりやすく伝え、聞き手の腑に落とすことに心を砕き、そしてその工夫を惜しみなく皆と共有されていました。
相互の職場訪問の企画や学術イベントに関する情報共有など、学びを広げる取り組みも積極的に行われていて、自分たちとは異なる他分野の安全のエキスパートたちとの意見交換やノウハウの交換が盛んに行われていました。
私自身も、安全研究会を通じて、鉄道や海運といった、それまで全くご縁のなかった分野の教育・訓練の現場を訪問し、そこで行われている優れた実践を直接見聞きして学ぶ機会をいただきました。
また、知識も経験も足りない私の意見をとり上げていただける経験もできて、「安全」をいう共通の目的を持つ者同士、分野を超えて協働することの意義と充実感を、皆様から身をもって教えていただいたと感じています。
私自身も、安全研究会を通じて、鉄道や海運といった、それまで全くご縁のなかった分野の教育・訓練の現場を訪問し、そこで行われている優れた実践を直接見聞きして学ぶ機会をいただきました。
また、知識も経験も足りない私の意見をとり上げていただける経験もできて、「安全」をいう共通の目的を持つ者同士、分野を超えて協働することの意義と充実感を、皆様から身をもって教えていただいたと感じています。
安全研究会の皆様が安全に取り組む姿勢を拝見していて、改めて、その大切さに気づかされた言葉があります。
それは、作家の井上ひさし氏の言葉をもとに、日本のヒューマンファクターズの大家である早稲田大学名誉教授の故・黒田勲先生が語られ、モットーとされていた以下の言葉です。
それは、作家の井上ひさし氏の言葉をもとに、日本のヒューマンファクターズの大家である早稲田大学名誉教授の故・黒田勲先生が語られ、モットーとされていた以下の言葉です。
むずかしいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを面白く、
いつも人間を愛しつつ
いつも人間を愛しつつ
いつか、この言葉を体現できる安全の研究者になれるように、学び続けたいなと思っています。これからも、医療の質・安全学会の皆様から多くを学ばせていただくとともに、私からも微力ながら何かしらのお返しをすることができればと思っています。
東北大学大学院工学研究科
技術社会システム専攻
量子エネルギー工学専攻(兼任)
狩川 大輔
技術社会システム専攻
量子エネルギー工学専攻(兼任)
狩川 大輔