医療安全よもやま話
第43回:医療安全から患者安全へ~部門の名称変更~ ー南須原 康行ー
2026-03-25
私の勤務する北海道大学病院の「医療安全管理部」は、令和8年度から「患者安全推進部」となります。
これは、「医療安全」という用語が、WHOをはじめとして世界的にも「Patient Safety」と称されることが多くなっていることを踏まえ、 当院の組織名称を世界標準に揃えることを意図したものです。
本邦においても、名古屋大学病院が、全国に先駆けて「医療安全管理部」を「患者安全推進部」に名称変更しています。
翻って、一般企業に目を向ければ、旭硝子がAGCへ、凸版印刷がTOPPANへ、など、TVコマーシャルを通じて、名称を変更した例に馴染みがある方も多いでしょう。
名前を変えることにどれほどの意味があるのか、と疑問に思う方もいるでしょうが、私は名称変更は、「それに関連するヒトやモノに対する意識の変革」という大きな意味を持っていると思います。
名称変更によりそこで働く職員の意識は少なからず変わるのではないでしょうか。
仕事量の増加や新しい名称に馴染みがないなど、名称変更に伴うデメリットはあるかもしれませんが、それでもなお、「変わるんだ、変わらなければならないんだ」という考えが少しずつ醸成されていくことのメリットは大きいと考えます。
さらに、外部に対しては、その組織や部署が改めて認識されるきっかけになり、外部から注目される、変化を期待される、など良い意味でのプレッシャーが組織内にかかることにより、新たな発想が生まれたり、組織の体質改善などが起こるなど、大きな効果が期待されます。
また、名称変更とは異なりますが、令和8年度から、事務部長が、病院長補佐から副病院長になります。
病院においては、医学(医療)という極めて専門性の高い仕事を担う医療職と事務職の間には、それぞれが有する専門的知識や業務に対する意識の面で大きな壁があり、相互が担うべき業務の範囲に関する共通理解がまだまだ不十分ではないでしょうか。
私も、医療安全担当の病院長補佐・副病院長として病院執行部において10年近く働いてきた経験から、そのことを強く感じています。
安全な医療を提供するためにはチーム医療が重要であることは論を俟たないと思います。
病院は、医療職だけでは運営のみならず診療すら十分に行えません。
事務部長が副病院長となることは、医療職に事務職の重要性を再認識させる、事務職においても、そのトップが副病院長の肩書を有することは、職務に対するモチベーションのアップや医療職との連携を行いやすくなる効果が生まれてくると考えています。
たかが名称、されど名称。名称変更が、当院のさらなる発展の契機となるよう、
これからも取組を進めていきたいと考えています。
北海道大学病院 病院長
南須原康行