医療安全よもやま話

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2024-04-05
エンパワメント~これは“魔法のチカラ”である。   私は腎臓内科を専門として診療を行ってきた。 慢性疾患である腎臓病においては、塩分制限などの食事管理を含めた「自己管理」ができるか否かで予後が変わる。 自己管理能力を身につけてもらうための言葉がけを試行錯誤しながら10年ほど経過して(ようやく)気づいたことがある。 それは「その人が守りたい生活」を慮った声かけであるかど...
2024-02-19
「先生、TeamSTEPPSってワールドトリガーみたいで面白いですね」「ん?」 今年1月、医学部3年生の講義でTeamSTEPPSの演習「チームの鎖」を行った直後の休み時間、学生からこう声を掛けられた。 ワールドトリガーというのは、「ジャ〇プ」に連載されるバトルアクション漫画で、異世界からの強大な侵略者に対してチーム戦で対抗し、役割分担をした仲間とコミュニケーションを取りながら、その場...
2024-02-09
2024年は波乱の幕開けとなりました。 元旦、能登半島で大地震が発生し、約1ヶ月が経とうとしています。 この地震による被害に遭われた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。 地震被害に加えて、厳しい冬の寒さと大雪も相まって、多くの方々が非常に困難な状況に立ち向かっていることと思います。 被災地の一日でも早い復興を祈っております。   さて、新年の2日には羽田空港での...
2024-01-16
私は長年に亘り大学病院の薬剤師であった後、医療安全管理を標榜する大学院で教育・研究に取り組んでいます。 病院では調剤をはじめ医薬品情報、購入管理のほか、製剤や医師主導治験薬の検討、栄養サポートに取り組み、デジタル化初期の激動期でしたので、部内情報の電子化や、処方支援システム・電子カルテ対応に取り組んだ世代です。 また、医療安全元年にはじまって、第4次・第5次医療法改正で医療安全が重要性...
2023-11-22
1991年研修医となり、外科の臨床現場は超多忙で過酷であった。 外科修練は苦労と試練の連続であり、逆境に強いレジリエンス能力を身につけた。 当時の手術技術は術後合併症の発生が高く、インシデント、アクシデント、有害事象、エラーもあったと思う。 術後経過を患者や家族に丁寧に説明し、献身的な態度で患者を診て、患者や家族の不信感から信頼を得るプロセスを体感し、最終的に感謝されることも...
2023-10-25
医療の質や安全についての考え方として、大阪大学の中島和江先生からレジリエンス・エンジニアリングとSafety-IIについて教えて頂いたことは、自分にとって大きな出来事でした。 本稿では、Safety-IIに関連して自分が現在感じていることを述べたいと思います。 安全管理について、Safety-I として、「悪いことに着目し分析的にとらえて、悪いことを減らす」、Safety-II とし...
2023-08-01
私が薬剤師になって24年、あっという間でした。 1999年に薬剤師になったので、振り返ってみても本当に医療事故報道が盛んに騒がれ始めた時であったのを今でも記憶に強く残っています。 同時に、情報開示の時代がやってきました。 薬剤師になったばかりの私は医師の処方箋にもとづいた調剤をしながら、「なんでPTPシートや錠剤には何の薬か印字されてないんだろう?」とつぶやいていたものでした。 ...
2023-06-26
運動下手の私は、職場のイベントは炊き出し担当でした。 楽しそうに食べるみんなの笑顔に気をよくして、密かに職員向けの定食屋のおかみさんになろうと目論んでいました。 しかし、ターミナルケアや研究を進めていくうち、心のケアに興味を持ち臨床心理士を目指して大学院に入りました。 その後、兼任GRMとして医療安全管理部の創設に関わり、2002年に初代専従GRMに着任し、約10年間(ワンオペ時代)は、他大...
2023-05-31
血液内科医として研究と臨床に従事した後、医療の質・安全学に取り組みはじめてから8年ほどになります。 皆さんはどのようなきっかけで本学会のホームページをご覧いただいているでしょうか。 この原稿は、米国で開催されたレジリエント・ヘルスケアの国際学会での発表を終え、時差ぼけと戦いつつ書いています。 4日間の白熱した英語での意見交換に参加し、多くの刺激を受けました。 レジリエント・...
2023-04-28
『改善策の❝常連さん❞に思うこと ~「6Rの徹底」「ダブルチェックの徹底」「フルネームを名乗ってもらう」は、本当にそれでいいの?~』     2021年度の医療の質・安全学会学術集会のプログラム委員会企画において、私は「フルネームを名乗ってもらうルールなんていらない」というアンチテーゼなテーマで発表しました。 もちろんそれは逆説的な意味で、「フルネームを名乗ってもらって...
2023-04-12
 自分のキャリアを振り返ると、これまでいくつの学術集会に出席してきたでしょうか?   新人の頃は、(もちろん今もですが)主に知識をまとめて獲得できる勉強の機会として、少し時間がたってくると、自分の研究成果を発表し、また新しい研究につながるようなシーズを求めて出席していたように思い出されます。そしていつの頃からか、私にとって学術集会に参加することは、パワーを充電する機会になっていました。...
2023-01-20
 医師に対する時間外労働の上限規制、いわゆる「医師の働き方改革」の適用開始が令和6年4月1日に迫り、多くの医療機関で適用開始に向けた取り組みが佳境を迎えています。ブラック労働と評される過酷な医療現場の労働環境の改善に期待が膨らむ一方、COVID-19への対応で露呈した医療システム全体の脆弱性や、医師の偏在などの根深い根本問題が積み残しとなっている現状では、「自己研鑽」が嵩むだけの絵に描いた餅になり...
2022-12-20
私は工学部の教員です。所属は経営システム工学科。マネジメントシステムの企画、開発、運用、維持に関わることを扱っている学科です。例えば、宅配便。今日出して、明日、間違いなく相手先に届くということは、素晴らしいことだと思われないでしょうか? 日本全国で、いったい一日あたり、何個の荷物が行き来しているのか分かりませんが、その中で確実、迅速に届くのです。こうしたことが可能なのは、優れたマネジメントシステム...
2022-12-01
 1999年という国際的にも我が国においても医療安全の重大な転換期に医師となり、目の前の課題に必死に対応し続けていたら、気が付けば「おじさん」になっていました。  毎年、18歳の大学生に講義をしているのですが、1999年に起きた著名な事故の話をしても、今の学生にとっては「生まれる前の話」になってしまいました。  若い学生たちとディスカッションをしていて痛感するのが世代間ギャップです。医...
2022-10-25
医療安全の取り組みが本格化しようとしている2001年に、九州大学で仕事を始めることになりました。その直後、九大工学部の教授が「一緒に何かできませんか」と声をかけてくださいました。長いことトヨタ自動車で工程管理・品質管理の仕事をされていた方・・・というか、後からわかるのですが「神様」と言われていたような方で、我々としては「是非!」とお願いすることになりました。その後JSTの研究班を立ち上げられ、その...
2022-10-04
いくつかの立場で、全国の病院にお邪魔することが少なくありません。医療安全管理者になったのは2003年ですから、この20年間におそらく250~60以上の病院を訪問し、安全管理担当者の話を伺ったり、カルテを拝見したりと相当に深く多くの病院に関わってきました。  その時、いつも感じることは、個々の病院にはそれぞれの空気が流れているということです。(時には有臭の病院もありますが)無味無臭のはずの空気...
2022-08-14
医療の質・安全学会 教育委員長を務めさせて頂いております、北里大学病院の荒井有美です。私は、薬剤師、看護師の実務経験を経て、医療安全管理の世界に入りました。このキャリアについて「稀有な経歴ですね」と言われることがあります。この2つの職域での実務経験を大切に、医療に関係する全ての方々とともに、日々、医療安全管理に取り組んでおります。 本学会の教育委員会は、「医療安全管理者養成研修会」を企画・運...
2022-08-14
医療の質・安全学会誌の編集長を務めさせていただいております群馬大学の小松です。今回は「学会」ならびに「学術活動」について考えてみたいと思います。 本学会の設立趣意書は、医療の質・安全学会の目標(パーパス)が「健康を大切にし、安心して暮らせる社会」を実現すること、使命(ミッション)が「新しい医療のあり方、システムとして患者本位の医療の質と安全を保証するしくみを創り出す」ことにあることを示してい...
2022-08-14
このコラムの担当の広報委員会委員長とともに、第17回医療の質・安全学会学術集会で副大会長を務めさせていただいております。現在、寺井大会長のもと、山口プログラム委員長、甲斐プログラム副委員長をはじめ多くの皆様の支援を頂き、学術集会の準備中です。この場を借りて御礼申し上げますとともに、その過程で、医療の質・安全と言っても、専門性の異なる多くの皆さまとの交流はとても刺激的です。 私の医療安全の出自...